玄関のドアクローザー【閉扉速度】調整方法・交換について解説
この記事でわかること
- ドアクローザーの仕組みや主なメーカー
- ドアクローザーの調整方法
- ドアクローザーは修理不可
記事監修者
名前:金城 甫(きんじょう はじめ)役職:マネージャー
これまで4,000件以上の鍵トラブルを解決してきたベテラン鍵職人。“お客様に寄り添った接客”をモットーに、日々現場に駆けつけている。
「ドアが閉じる速度が速い」「ドアクローザーになんらかの不具合がある」
とお困りではありませんか?
玄関ドアが閉まる勢いが強いと、怪我や騒音トラブルのもとになってしまうので早めに解決したいものです。
玄関のドアが閉まる速度はドアクローザーで調整することができます。
しかし、どのような手順で行えばいいのでしょうか?
この記事では、ドアクローザーについてや調整方法、鍵屋に作業を依頼した場合の費用相場について解説していきます。
目次
ドアクローザーの構造・仕組み
ドアクローザーは、主に玄関ドアの上部についているもので、ドアを開けたら自動的にゆっくりと閉まるようにする装置です。
他にも、強風でドアが勢いよく閉まらないようにスピードを調整する役割もあります。
ドアクローザーの内部は主にスプリングとオイルで構成されています。
ドアが開いたときに縮むスプリングの力でドアは閉まりますが、スプリングの力では閉まる勢いが強すぎます。
そこで、粘度のある油をドアクローザー内部に入れ、ドアが閉まるときの動きを遅くすることで、ドアはゆっくり閉まります。
この油圧を調整することで、ドアが閉まるときのスピードを調整することも可能です。
ドアクローザーの種類
ドアクローザーは「スタンダート型」と「パラレル型」の2種類があります。
それぞれの動作の仕組みは一緒ですが、設置する場所が異なります。
スタンダード型
スタンダード型は、玄関ドアの室外側に取り付けられます。
ドアとアームが垂直になるので、玄関ドアから90度の場所に壁や障害物があると設置できません。
室内からはドアクローザー見えないため、玄関周りがスッキリとして見えることがメリットです。
しかし、そもそも取り付けが難しく、雨風の影響を受け劣化しやすいことなどのデメリットがあるためスタンダート型の採用例は少ないです。
パラレル型
パラレル型は、ほとんどの玄関ドアに採用されているドアクローザーです。
室内側に設置するため、外からのホコリや雨の影響を受けにくく故障もしにくいです。
また、リンクがドアと平行であるため、ドアから90度の場所に壁や障害物があっても設置可能です。
ドアクローザーの主なメーカー
ドアクローザーの主な国内メーカーは以下の2社になります。
かつては国内大手の鍵メーカーである美和ロックやNHN(ダイハツディーゼルNHN株式会社)などの企業もドアクローザーを製造していましたが、事業撤退や会社解散などでドアクローザーの製造を終了しています。
RYOBI
RYOBI (リョービ)は、国内最大級のダイカストメーカーとして発展し、1963年にドアクローザー事業に進出したメーカーです。
ダイカストの製造技術を生かして、現在のドアクローザーの国内トップシェアを築いています。
日本ドアーチエック
1919年に日本初のドアクローザーを製造したメーカーで、当初の機能に改良を積みかさね現在の完成形に至ります。
「ニュースター」ブランドで有名です。
ドアクローザーで調整できる?ドアの音が大きい原因
冒頭でドアクローザーは、ゆっくりとドアを閉める機能を持つ装置ということをご説明しました。
ここからは、玄関ドアがバタンと大きな音を立てて閉まる原因についてご紹介します。
なお、ドアクローザーの調整については、後の項目にて解説します。
ドアクローザーの経年劣化
ドアクローザーのバネの劣化や油漏れなどの不具合が発生するとドアがゆっくり閉まらなくなります。
基本的に油漏れが見られる場合は経年劣化のサインで、修理できないため交換が必要です。
油漏れもしていないのにドアの閉まるスピードが速すぎるときは、ドアクローザーの速度調整弁を少し締めてみましょう。
スピード調整弁の緩めすぎ
ドアの閉まる速度が速すぎると感じるときは、ドアが閉まるスピードを設定できる調整弁を緩めすぎている可能性があります。
ドアクローザーの調整ネジの数は製品によって違いますが、通常2~3個ついています。
古いタイプですと調整弁が1個だけのものもあります。
ドアクローザーの調整方法は以下で紹介します。
ドア枠の緩衝材の劣化
ドア枠にクッション性のある隙間テープなどの緩衝材をはると、ドアが閉まる際の騒音を大幅に軽減することが可能です。
しかし、緩衝材が劣化していると、ドアとドア枠が接触してドアが閉まるときに音が大きくなる原因になることがあります。
緩衝材には断熱効果や光、音漏れ、虫の侵入防止などの役割もあるので、ゴムが硬くなったりしている場合は交換しましょう。
ドアクローザーのストップ位置の調整方法
ここからは、止まらないドアクローザーを止める為の、ストップ位置(ストップ角度)の調整方法について、解説します。
ドアクローザーの速度調整弁を、左右に回して調節を行うことで、ドアがバタンと閉まったりきっちり閉まらない、設定しても扉が開いたままの状態を保持してくれないといったトラブルが解決するかもしれません。
一般的なドアクローザーであれば、ドライバーで簡単に調整可能ですが、調整方法は製品によって異なるのでご注意ください。
例えば、ドアを開けっ放しにする開放停止位置(ストップ機能)を調整する場合、リョービ製(22Pなど)なら専用の六角レンチが、MIWA製の場合は専用スパナが、それぞれ調整に必要な場合があります。
ドアクローザーを調整できない、重い、動かない、回らない、固定したい、といった方は、ドアクローザーの調整の仕方を紹介している動画などを、参考にしても良いかもしれません。
なお、キーレスキューサービスでは、RYOBIやNHN、LIXIL、YKK、三協アルミなど幅広いドアクローザーのお悩みにも対応しています。
また、勝手口や引き戸のドアクローザー、コンシールドドアクローザーやスライドドアクローザーの調整についてもご相談ください。
ドアクローザーの速度調整弁が1個の場合
ドアクロザーの速度調整弁が1個の場合は速度調節が難しく、区間ごとの速度調節ができないため交換がおすすめです。
また、速度調整弁が1つのドアクローザーは現在ほとんど販売されていないので、別メーカーの商品(RYOBIの万能型)などの交換になります。
ドアクローザーの速度調整弁が2個の場合
ドアクローザーの速度調整弁が2個(2つ)ある場合は、ドアの閉まりはじめ(第一速度区間)と閉まり終わり(第二速度区間)にそれぞれ調整弁が分かれています。
最初に数字で1と書いてある弁を調整し、続いて数字で2と書いてある調整弁を調整します。
先ほどと同様、調整弁をドライバーで右(時計回り)に回すと速度が遅くなり、左(反時計回り)に回すと速度が速くなります。
第一区間終了(ドアが閉まる中盤)からドアの速度が遅くなる区間が第二区間になります。
ドアクローザーの速度調整弁が3個の場合
速度調整弁が3個あるドアクローザーは、「第一速度区間」、「第二速度区間」、「ラッチングアクション作動区間」の3つの速度区間を調整できます。
3つの区間の目安ですが、ドアが閉まり始めてから半分以上通過したぐらいまでを第一速度区間、そこからドアが閉じるまでを第二速度区間、そして、ドアが閉まる間際がラッチング作動区間となります。
調整弁には番号がついており、1番が第一速度区間を調整する「第一速度調整弁」、2番が第二速度区間を調整する「第二速度区間調整弁」、3番がラッチング作動区間を調整する「ラッチングアクション調整弁」となっています。
1番から順に3つの弁を調整していきましょう。
油漏れ等ドアクローザー故障は基本的に修理・調整ができない
ドアクローザーの故障でもっとも多いのが油漏れ(オイル漏れ)です。
ドアクローザーの寿命は、一般的に15~20年程度と言われており、この年数を超えると経年劣化によるオイル漏れが発生する可能性が高くなります。
オイルが漏れはじめると、なくなるまで流出し続けるため、一刻も早く交換する必要があります。
このように、ドアクローザーが壊れた場合、鍵屋では修理ではなく交換を行います。
ドアクローザーは中身をあけて部品を交換することができないため、速度やアームの長さ調整、リンクといった駆動部分のメンテナンス、或いは位置調整などで対処できない場合は、本体交換になります。
ドアクローザーの交換は鍵屋へご依頼ください
ご紹介したとおり、ドアクローザーの調整はドライバーがあれば簡単にできます。
しかし、交換となればそう簡単にはいかないでしょう。
確かにドアクローザーの交換はDIYでも可能ですが、ドアクローザーはドアの重さや厚みによって選ぶ必要があるため間違った製品を買ってしまうおそれがあります。
また、古いタイプから新しいものに交換する際、ブラケットの取付穴が足りないと取り付けのために追加工事が必要になります。
さらに、経年劣化でビスが固着して取り外しが難しいこともあるのでDIYに慣れていない方ですと、無理にネジをまわそうとしてネジ山を潰してしまうかもしれません。
あるいは、カムや蝶番といった別のパーツに問題がある場合もございます。
電動工具が必要な作業になるので、「工具がない」「DIYに自信がない」という方は、無理をせず鍵屋へご連絡ください。
ドアクローザーの調整や交換にかかる費用
ここからは、ドアクローザーの調整や交換を鍵屋へ依頼したときにかかる費用を紹介します。
鍵屋へ作業を依頼した場合の相場は以下の通りになっています。
【ドアクローザーの調整・交換の費用相場】
作業内容 | 費用(税込み) |
ドアクローザーの調整 | ¥8,800~ |
ドアクローザーの交換 | ¥16,500~(+部品代) |
ドアクローザーの新規取付 | ¥16,500~(+部品代) |
ドアクローザーの調整には作業費用として¥8,800程度からが相場です。
ドアクローザーの交換費用ですと、作業費用が¥16,500程度で部品代は¥5,000~¥35,000程度が相場になります。
また鍵屋によっては、これらに追加で出張料金が必要になることもありますので、事前に確認しましょう。
取り付けるドアが非常に重たい場合やドアのサイズが通常よりも大きい場合は、上乗せで料金が発生することもあるのでご注意ください。
- BL部品とは?
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優良住宅部品(BL部品)は製品の質や性能、アフターサービスなどに優れた住宅部品です。
BL認定のドアクローザーの場合、専門家による調整を前提とした構造となっているので専門工具以外での調整ができません。
調整が必要な場合は、住宅供給者様や管理会社様にお問い合わせください(ベターリビングお客様相談窓口)。
鍵屋ではBLマークのシールが貼り付けされているドアクローザーの調整は対応しておりませんが、交換でしたら可能です。
ドアクローザーの修理・交換はキーレスキューサービスへお任せください!
ドアクローザーは製品によって調整方法や取り付け方法が違います。
また、調整をしても動作に変化がなく改善しない場合は、故障している可能性が高いため交換が必要でしょう。
「調整や交換の仕方がよくわからない」、「自力での作業に自信がない」という方は鍵屋へお任せください。
鍵屋へ依頼するメリットは、何よりも手間がかからず、プロのスタッフがスピーディーかつ確実に作業を行ってくれることでしょう。
DIYに自信がない方やはじめてドアクローザーを交換する方は、商品選びや取り付けで失敗するリスクもあるので、無理をせず鍵屋へ依頼した方が圧倒的に有利です。
マンションや戸建て等のドアクローザーのトラブルでお困りの方は365日対応の鍵屋のキーレスキューサービスへご相談ください。