GOALの鍵・シリンダー交換を自分で!手順と費用を徹底解説

この記事でわかること
- GOALのシリンダーの種類
- GOALのシリンダーを自分で交換する方法
- 鍵屋に交換を依頼した場合の費用相場

記事監修者
名前:金城 甫(きんじょう はじめ)役職:マネージャー
これまで4,000件以上の鍵トラブルを解決してきたベテラン鍵職人。“お客様に寄り添った接客”をモットーに、日々現場に駆けつけている。
GOALは老舗の鍵メーカーで知名度も高く、安心感のある高性能な鍵を提供しています。
鍵の交換を検討している人の中には「現在GOALの鍵を使っているので、次も同じGOALの鍵に交換したい」または「他社の鍵を使っているけど、有名なGOALの鍵に交換したい」という人も多いでしょう。
GOALの鍵は、やり方さえわかれば自力でも交換可能です。
ただし、種類によっては取り付けができなかったり、同じ型番でも正しいものを選ばないと鍵が回らないことも。
この記事では、GOALという鍵メーカーの特徴や取り扱っている鍵の種類、自力での交換方法などについて詳しく解説します。
GOALの鍵へ交換を検討している人はぜひ参考にして下さい。
目次
GOALってどんな鍵メーカー?
GOALは日本で最も歴史ある鍵メーカーで、創業はなんと1914年(大正3年)。
昭和30年には日本で初めて円筒錠を開発し、高い防犯性と使い勝手の良い操作性、優れた経済性で玄関錠の一般化を促進しました。
GOALは、住宅用の鍵・錠前では美和ロックの次にシェアがある業界ナンバー2の鍵会社で、V18などの製品は利便性が高くて人気があります。
また、2002年には日本で初めて米国UL防犯規格の認定を受け、2004年には防犯建物部品の登録やCPマークを付ける許可を得るなど、世界水準の防犯性能を誇る錠前を造り続ける鍵メーカーです。
GOALのシリンダーの種類
ここからは、代表的なGOAL製のシリンダーを3つ紹介します。
なお、「シリンダー」とは鍵を差し込む鍵穴のことをいい、「錠前」はシリンダーや錠ケース、ハンドルやノブを含む錠全体を指します。
ピンシリンダー

ピンシリンダーは子鍵の片方のみがギザギザした形状で、GOAL製のピンシリンダーは「6本ピンシリンダー」と「7本ピンシリンダー」の2種類。鍵違い数は6本ピンで100万通り、7本ピンでは1,800万通りもあります。
10万回以上のキーの抜き差しにも耐える耐久性能を備えているだけではなく、上ピンには不正解錠に強い「アンチピッキングピン」を採用。
昔のものとは違い、ピッキングによる解錠が非常に困難になっています。実際に、「耐ピッキング性能10分以上」という高い防犯性も実証されています。
ただし耐鍵穴壊し性能は低いため注意が必要です。
ディンプルキー
ディンプルキーにギザギザはなく、代わりに表面にボコボコとくぼみがあるのが特徴です。ディンプルシリンダーは非常に複雑な構造でピッキングに強く、高い防犯性を誇り、住宅の玄関や事務所などに幅広く使用されています。
GOAL製のディンプルキーでは「V18シリンダー」と「GRAND V(グランブイ)シリンダー」が特に有名です。
V18シリンダー

V18シリンダーはGOAL社が独自開発したディンプルキーで、高精度のピンを6本×3列の計18本配置。鍵違い数は120億通りです。
上部のピンはすべてアンチピッキングピンになっているため、耐ピッキング性能は10分以上。ピッキングによる建物内への侵入はほとんど不可能といわれ、さらに電動ドリルなどの工具を使用した鍵穴壊しに対しても10分以上耐える頑丈さを兼ね備えています。
子鍵の複製には専用のキーマシンが必要で、合鍵作成の難易度は高く、ホームセンターなどでは対応できない場合が多いです。
また、オプションの「セキュリティIDカードシステム」があれば第三者による不正なキー複製も防止可能。V18シリンダーの子鍵はリバーシブルなので表裏に関係なくどちらでも解錠ができ、使い勝手も良好です。
※トステムなどにOEMで提供されているときはD9というシリンダーになっており、子鍵の鍵足が短いのが特徴です。
GRAND V(グランブイ)シリンダー

GRAND Vシリンダーは、最大5段差24コラムの高性能なピンにより、鍵違い数は1,000兆2,800億通りと目が回るほど膨大です。
マスターキー(MK)ピンを採用し、内筒・外筒に装着してある6本の超硬製ガードピンで、ドリルによる不正破壊を防ぎます。
子鍵はV-18同様リバーシブルなため使い勝手も良く、新たに採用された「セキュリティIDタグシステム」により、不正複製も防止します。
GOALの錠前の種類
ここからは、住宅でよく使われるGOALの錠前の種類について紹介します。
円筒錠(ユニロック)

円筒錠(ユニロック)は国内ではGOALが開発した錠で、握り玉の中にシリンダー錠が組み込まれており、ドアノブの室外側に鍵穴、室内側にプッシュボタンもしくはサムターン(つまみ)がついています。
ワンタッチで解錠や施錠を行えて操作性がよく、さらに耐久性や取り付け性にも優れているため、室内だけではなくトイレや勝手口の鍵としてもよく使われます。
ただし強い衝撃でドアノブがもげたり、ラッチ(ドアノブをひねると出たり引っ込んだりする仮締め用の三角形の金具)が外れて扉が開いてしまうリスクがあるため、玄関錠としての使用には不向きです。
面付箱錠4350

面付箱錠V-4350は、集合住宅の玄関スチールドア用として開発された面付錠で、コンパクトな設計が特徴です。
耐久性に優れており、握り玉の部分を偏心握り玉やレバーハンドルに替えることも可能です。
面付箱錠は、施錠時にドアの隙間からデッドボルトと呼ばれるかんぬきが見えなくなるため、デッドボルトこじ開けによる不正開錠に強いという利点もあります。
面付箱錠5350(外開き用)

こちらはキーインノブ(=ドアノブにシリンダー(鍵穴)が埋め込まれている)のシンプルなデザインの面付箱錠で、集合住宅などで使用されています。
キーインノブタイプですが、シリンダーは錠ケースに強固に固定されているため頑丈です。
取り付けは丸座の引足方式ですので素人でも簡単で、芯振れなどによる不調がありません。こちらはV18シリンダーやGRAND V シリンダーを取り付けることが可能です。
また、内開き用の「面付箱錠5371」という製品もあります。こちらはV18シリンダーやGRAND V シリンダーを取り付けることはできません。
面付本締錠MDU

こちらはコンパクトで取り付けやすい、ワンドアツーロックとして最適の本締錠です。取り付けが簡単で、フラッシュ扉など戸先付近にしかネジ穴の加工ができない扉にも取り付けることが可能です。
また、扉と枠との状況に応じて、2種類の受座を使い分けることができます。
インテグラル錠

インテグラル錠は室内やトイレのドアに使われる錠で、ドアノブに鍵穴とサムターンがついています。
見た目は円筒錠に似ており区別がつきにくいですが、インテグラル錠は円筒錠の発展型でラッチとデッドボルト(鍵を回すと出たり引っ込んだりする金具)が1つの錠ケースに入っています。
インテグラル錠はシリンダーにディンプルキーを選択できるため、防犯性や耐久性も高くなります。
ドアに適合する鍵を選ぶ方法
自力で鍵・シリンダー交換をする際は、既存のドアに適合する鍵を自分で選定して購入する必要があります。今回はDIYで実施しやすいシリンダー交換について解説していきます。まずは、適合する鍵の選び方は以下の通りです。
ドアの各寸法を測る
取り付けるドアの以下4箇所を正確に測り、適合する鍵を選びます。
測り間違えるとサイズが合わず、取り付けられないため慎重に測りましょう。
- ドアの厚み
- フロントプレートの長さと幅
- ビスピッチ(フロントプレートの上ネジから下ネジまでの長さ)
- バックセット(シリンダーの中心からドアの端までの長さ)
型番とメーカーを調べる
錠前のメーカーと型番を確認し、交換しようとしているシリンダーが適合しているかを調べましょう。同じメーカーの同じ品番であれば基本的にそのまま交換が可能。
メーカー名と型番はフロントプレートに刻印されています。
メーカー名:GOAL
型番:AD、AS、LXなど
GOALのシリンダーを自分で交換する手順
GOALのシリンダー(鍵穴)を自力で交換する場合の作業手順を紹介します。
※シリンダー・錠ケースの交換を自分でおこなう際は、トラブルを防止するために作業が終了するまで、必ずドアを開けた状態にしておきましょう
用意するもの
- プラスドライバー
- マイナスドライバー
- 小物ケース(ビス紛失対策)
- 交換する新しいシリンダー
なお、新しいシリンダーを購入する際は、子鍵が何本ついてくるかも重要なポイントです。
ディンプルキーの場合はあとから合鍵などを作成しようとすると時間も費用もかかるため、必要な子鍵の本数がついてくるか、事前に確認しておきましょう。
シリンダーの交換手順
- 室内側のサムターンについているビスを外す
- サムターンのつまみを取り外し、シリンダーを固定しているビスを外す
- フロントプレート(ドア側面のプレート)を固定しているビスを外す
- マイナスドライバーをつかってサムターンとシリンダーをとめているピンを外す
- サムターンとシリンダーを取り外す
- 外すときと逆の手順で新しいサムターン、シリンダーを取り付ける
- 鍵やサムターンを回して動作確認をする
GOALの錠ケースを自分で交換する手順
GOALの鍵を錠ケースごと交換する手順は以下の通りです。
用意するもの
- プラスドライバー
- マイナスドライバー
- 小物ケース(ビス紛失対策)
- 交換する新しい錠ケース
新しい錠ケースを購入する際は、型番の刻印だけでなく、各寸法も正確に測り、適合するものを選定しましょう。
鍵は防犯上の理由から、一度購入したら返品ができません。誤った商品を購入してしまうと部品代が丸々無駄になってしまうため、自分で判断が難しいと感じたら無理せず鍵屋に依頼することをおすすめします。
錠前の交換手順
- 室内側のサムターンについているビスを外す
- サムターンのつまみを取り外し、シリンダーを固定しているビスを外す
- フロントプレートを固定しているビスを外す
- マイナスドライバーをつかってサムターンとシリンダーをとめているピンを2箇所外す
- サムターンとシリンダーを取り外す
- ドアノブ(ドアレバー)を固定しているビスを外し、ドアノブを引き抜く
- ドアノブの台座を固定しているビスを外し、台座を取り外す
- ドア側面の錠ケースを固定しているビスを緩めて、錠ケースを抜き取る
- 新しい錠ケースをはめ込み、外すときと逆の手順で取り付ける
- 鍵やドアノブ、サムターンを回して動作確認
錠ケース前取り付けの際はラッチの向きに注意する
錠ケース前を交換する際、ラッチ(ドア側面の三角形の金具)の向きを間違えていると、ドアを閉めた際にラッチが引っ込まず、閉められません。
ラッチは、斜めになっている面がドアの閉まる方に向くようにセットしましょう。
GOALの鍵・シリンダー交換を鍵屋に依頼した場合の費用相場

鍵屋に鍵交換などの作業を依頼した際の費用は、業者や交換する鍵の種類、現場の状況などによっても異なります。ここでは、おおよその費用相場を紹介します。
鍵・シリンダーの交換 | 11,000円~(税込)+部品代 |
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解錠 | 8,800円~(税込) |
鍵の修理 | 8,800円~(税込) |
鍵の取り付け | 16,500円~(税込)+部品代 |
GOALの鍵を長く使うためのメンテナンス方法

住宅の鍵の寿命は、おおよそ10年から15年といわれています。長く使うには日ごろのお手入れが大切。ここからは、GOALの鍵を長く使うためのメンテナンス方法を紹介します。
鍵穴専用の潤滑剤を使う
鍵が回りづらくなってきたと感じたら、鍵穴専用の潤滑剤を使いましょう。
鍵穴に潤滑剤をスプレーし、数回鍵を抜き差しすると動きがスムーズになります。
なお、潤滑剤は必ず「鍵穴専用」のものを使用してください。クレ5-56などの通常の潤滑油を使用すると、鍵穴の中でホコリなどのゴミが固まってしまい故障の原因になるため注意が必要です。
鍵穴専用の潤滑剤が手元にない場合は、鉛筆やシャープペンの黒鉛で代用できます。
鍵のギザギザやくぼみ部分を鉛筆やシャープペンでなぞり、黒い粉を付着させた状態で鍵穴に差し込んで数回抜き差ししたり回したりすると、鍵の動きが改善します。最後に付着した黒鉛をふき取るのを忘れないようにしましょう。
鍵穴を掃除機で吸う
玄関錠は常に風雨にさらされているため、長年使用していると鍵穴にホコリやゴミが溜まってしまうことがあります。
異物が入り込むと鍵が抜けなくなったり、鍵が回りづらいといったトラブルにつながるため、定期的に鍵穴に詰まった異物を掃除しましょう。鍵穴を掃除機で吸ったり、エアブラシなどを使って空気の圧力で鍵穴内部をきれいにできます。
子鍵のホコリを古い歯ブラシで落とす
長く使用していると、子鍵のギザギザ部分やディンプルキーのくぼみ部分にホコリなどがたまることがあります。
そのまま使用すると鍵穴の中にゴミが入り込み故障の原因になるため、定期的に古い歯ブラシなどを使って付着したホコリを掃除しましょう。
GOALの鍵・シリンダー交換をする場合の注意点

GOALの鍵交換を行う際は、以下の点に注意しましょう。
賃貸住宅の鍵・シリンダー交換は管理会社・大家さんに確認が必要
賃貸物件の鍵交換は、事前に必ず管理会社や大家さんの許可を得なくてはなりません。
許可なく勝手に鍵交換すると、火災や水漏れが起こったときに、管理会社や大家さんが合鍵を使用しての入室が不可能になり、契約違反となる可能性があります。そういったトラブルを避けるためにも、鍵交換は必ず管理会社や大家さんの許可を得てから行いましょう。
また、退去時に原状回復のため物件を借りたときの状態に戻すよう求められることもありますので、古いシリンダーは廃棄せずに残しておきましょう。
分譲住宅の鍵・シリンダー交換も無断では行わない
賃貸と同様、マンションなどの分譲住宅の鍵交換も無断で行わず、管理組合に確認するようにしましょう。
分譲マンションであれば玄関も自分のものなので自由にして良いと考える人もいますが、玄関ドアについては管理規約で「マンションの共有部分」とされていることがあり、許可なく交換すると規約違反になってしまいます。
マンションの外観はドアの色など統一したものになっていることも多いため、室外側の見てくれが大きく変わるような交換をすると、元の鍵に戻すことを要求されたり、指定の鍵に再度交換を求められるといった可能性もあるため、必ず事前に管理組合に確認しましょう。
失敗すると余計な費用が発生する
自分でシリンダー交換をおこなう場合は、部品代しか費用がかからないため、プロの鍵屋に交換を依頼するよりもコストがかかりません。しかし、ドアを傷つけてしまったりすると修理費用がかかりますし、シリンダー内部の細かい部品を紛失してしまうと、余計な出費が発生してしまうこともあります。
ご自身での交換作業に不安がある方は、プロの鍵屋に依頼するのが良いでしょう。
GOALの鍵・シリンダー交換を確実に行うならプロの業者へ依頼しよう
GOALの鍵は自力でも交換が可能です。ただし、ドアに適合する鍵を正しく選ばないとせっかく購入しても取り付けられず、部品代が無駄になってしまうことも。
自力での鍵の選定や取り付けが不安という人は、プロの業者に依頼しましょう。
鍵の専門業者である「鍵屋キーレスキュー」には経験豊富なスタッフが多数在籍しており、あらゆる鍵のトラブルに迅速・丁寧に対応します。
現在のドアに適合し、あなたの目的に合った最適なGOALの鍵を選び、確実に施工できるため、鍵交換を検討している人はぜひキーレスキューまでお気軽にご相談ください。
