クレ556を鍵穴に使っても良い?使ってはいけない理由と使ってしまった時の対処法

この記事でわかること
- クレ5-56を鍵穴に使うとホコリやゴミを付着させてしまう
- クレ5-56を鍵穴に使ってしまったときの対処法
- 鍵が固い・回りづらいときの正しいメンテナンス法

記事監修者
名前:金城 甫(きんじょう はじめ)役職:マネージャー
これまで4,000件以上の鍵トラブルを解決してきたベテラン鍵職人。“お客様に寄り添った接客”をモットーに、日々現場に駆けつけている。
あらゆる金属の錆をとり、動きをスムーズにしてくれる「クレ5-56」をお持ちの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。
自転車の錆とりやロッカーのきしみ音を抑えるなど、さまざまな用途で使用することができます。
しかし、玄関の鍵の動きが固いときに、同じようにクレ5-56を使用してはいけません。
本記事では、クレ5-56を鍵穴に使ってはいけない理由や使ってしまった場合の対処法、鍵の動きが固いときの正しいメンテナンス法などについて解説します。
既にクレ5-56を鍵穴に使用してしまい、鍵が使えない状態の場合は、弊社キーレスキューサービスにご相談ください。出張費・見積費0円でお伺いいたします。
目次
クレ556とはどんな商品?

クレ5-56はアメリカのCRCインダストリー社が開発し、日本国内では呉工業株式会社が製造・販売しています。主に防錆・潤滑などの効果を持ち、自動車や自転車、インテリア、スポーツ用品など、幅広い製品に使用できます。
価格もお手頃で一家に一つ置いておきたい商品ではないでしょうか。
クレ556を鍵穴に使っても良い?
結論から申し上げると、鍵穴にクレ5-56を使うのはNGです。なぜ鍵穴に使ってはいけないのか解説します。
クレ556を鍵穴に使ってはいけない理由
鍵の寿命は約10年と言われており、長い間使っていると経年劣化などによって、鍵が差し込みにくくなったり抜きにくくなったりすることがあります。
その際にクレ556を鍵穴に使って動きを良くしようとする方がいます。たしかに、潤滑剤なので鍵の動きは良くなり、直ったと思われる方は多いでしょう。
しかし、その効果は一時的なものに過ぎず、クレ5-56に含まれる油分がホコリやゴミを付着させ、鍵穴内に蓄積されていきます。
クレ5-56は強い浸透力で金属の表面に薄い被膜を形成することで、すぐれた潤滑効果と防錆効果を発揮します。しかし、この被膜が鍵穴内のホコリやゴミ、鍵を回したときの摩擦で生じる金属粉を吸着してしまい、鍵穴内に蓄積されていきます。
やがて、蓄積されたホコリやゴミが塊となって詰まり、鍵が回らないなどのトラブルを引き起こします。
また、クレ5-56の成分は石油系溶剤であるため、鍵穴にもともと塗布されているグリースを溶かしてしまう恐れがあります。
大手鍵メーカーの美和ロックも、鍵穴にクレ5-56などの鍵穴専用ではない潤滑剤を使用しないように注意喚起しており、販売元の呉工業も、ディンプルキーのような複雑な構造の鍵には使用しないように明記しています。
クレ556以外に鍵穴に使ってはいけないもの

クレ556以外にも下記のような潤滑剤やスプレーは使用しないようにしましょう。
- シリコンスプレー
- サラダ油
- 錆落としスプレー
鍵穴に使える潤滑剤は?
鍵が固くてスムーズに動かせないときは、どんな潤滑剤なら問題ないのか。ここでは、鍵穴に使える潤滑剤を紹介します。
鍵穴専用の潤滑剤

鍵穴には専用の潤滑剤があり、ホームセンターやネットショッピングで1,000円~1,500円程度で購入することができます。
鍵メーカーが専用の潤滑剤を販売していることがあるので、購入する前に自分がどこのメーカーの鍵を使っているか確認しておきましょう。
メーカー名はシリンダー(鍵穴)、もしくは純正キー(鍵を取り付けたときや交換したときに最初に渡される鍵)であればキーヘッドにも刻印されています。
ドライファストルブ

「ドライファストルブ」は呉工業が販売しているフッ素樹脂成分を配合したスプレーで、速乾性があり、ホコリや汚れがつかないため、鍵穴にも使えます。
クレ556を鍵穴に使ってしまったらどうすれば良い?【画像付きで解説】
ここでは、クレ5-56を鍵穴に使ってしまったときの対処法を画像付きで解説します。
鍵穴専用の潤滑剤でクレ556を洗い流す
鍵穴にクレ5-56を使用してからあまり時間が経過していない場合は、鍵穴専用の潤滑剤を入れて洗い流す方法があります。
鍵穴専用の潤滑剤は揮発性で速乾性が高いので、鍵穴に吹き付けても詰まりの心配はなく、部品への影響はありません。
使用手順は以下の通りです。
1.鍵穴専用の潤滑剤を鍵穴にたっぷり注入します。鍵穴から漏れてくる潤滑剤はタオルなどで拭き取ります。


2.鍵も潤滑剤で洗浄してタオルなどで拭き取ったあと、ゆっくりと鍵穴に抜き差しを繰り返して潤滑剤を馴染ませましょう。

3.鍵がスムーズに抜き差しでき、回して開くようになったら完了です。
鍵を分解してパーツクリーナーで洗浄する

自分で分解洗浄する
クレ5-56を使用してからすでに時間が経過している場合は、揮発性・速乾性で油汚れの洗浄に効果的なパーツクリーナーを使って洗浄する方法があります。
鍵穴の洗浄はシリンダーをドアから取り外して分解して洗浄するのが最も効果的な方法ですが、このような分解洗浄を素人が行うのはおすすめしません。
鍵の内部は非常に複雑な構造で、たくさんの細かなパーツが噛み合って解錠する仕組みになっており、これを分解したあと正確に組み直すのは困難です。
キーレスキューサービスにも「自分で分解して洗浄まではしたけど、組み立て直しができない」というご依頼をいただくことがありますが、ディンプルキーなどの防犯性の高い複雑な構造のシリンダーだと、鍵屋でも対応が難しいことがあります。
鍵屋は部品の位置や組み合わせなどを確認しながら分解するので組み直しも可能ですが、お客様が分解された場合は部品があるべき位置や正しい組み合わせが分からなくなっていたりします。
また、小さいパーツを気づかないうちに紛失されていたりすると、組み直しは困難になります。シリンダー内部品だけの販売はないので、殆どの場合、シリンダーの交換になってしまいます。
ですので、自分でパーツクリーナーを使って洗浄する場合は、ドアからシリンダーを取り外し、それ以上は分解せずに鍵穴にパーツクリーナーを吹きかけて汚れを落とす方がよいでしょう。
具体的な手順は以下の通りです。
1.ドア側面のフロントプレートを固定しているネジを外し、フロントプレートを取り外します。

2.シリンダー側のピンを2本抜いて、シリンダーが落ちないように手で支えながらシリンダーを取り外します。

3.取り外したシリンダーにパーツクリーナーを吹きかけます。

4.鍵を抜き差しして、汚れた液体が表面に付着するか確認します。鍵に汚れがつかなくなれば、鍵穴内の汚れが落ちたということになります。

5.シリンダーが乾いたら元に戻し、鍵穴専用の潤滑剤を吹き付け、鍵を抜き差しし馴染ませて完了です。

また、ドアからシリンダーを外さずに鍵穴にパーツクリーナーを注入する、という洗浄方法もありますが、その場合はパーツクリーナーの量に注意してください。
たくさんの量を注入すると、シリンダーと錠ケース(ドア側面に掘り込まれたケース)の隙間から汚れが垂れたり、パーツクリーナーが錠ケースに流れ出て錠ケースに塗布されていたグリースを溶かしてしまう可能性があります。
ちなみに、シリンダーをドアから取り外さずに洗浄した場合は乾燥にも時間がかかりますので、十分に乾燥させてから鍵穴専用の潤滑剤を注入してください。
鍵屋に分解洗浄を依頼する
クレ5-56を使用してから2週間程度が経過してから、鍵の動きが固いなどの不具合が出てきた場合は、鍵穴内部で蓄積されたゴミやホコリの塊が潤滑剤に吸着して固まってしまっています。
そうなると、鍵穴専用の潤滑剤を入れても洗い流すことができず、症状が改善されにくいので、鍵屋に分解洗浄を依頼するのが良いでしょう。
鍵交換をする

自分で交換する
自分で交換する場合に必要な物は、新しいシリンダーとドライバーです。これらはホームセンターやネットショップなどで購入できます。
作業に入る前にまずはドアのサイズを測る必要があります。計測する箇所は以下の5点です。

※③のバックセットはシリンダーの中心からドアの端までの長さを指しています。
次にシリンダーのメーカー・型番を確認して、適合するシリンダーを購入しましょう。ここで、サイズの合わないシリンダーを購入しても返品ができません。
一度購入されたシリンダーは合鍵を作られる可能性があるためです。
事前準備が完了したら交換作業に移ります。交換する際は閉め出しを防止するため、必ずドアを開けた状態で作業を行ってください。
手順は以下の通りです。
1.ドア側面のフロントプレートを固定しているネジを外し、フロントプレートを取り外します。

2.シリンダー側のピンを2本抜いて、シリンダーが落ちないように手で支えながらシリンダーを取り外します。

3.新しいシリンダーを取り付け、先ほど抜いた2本のピンで固定します。

4.フロントプレートを取り付け、ネジで固定します。ドアを開けたまま、鍵が問題なく施解錠できるか確認します。

自分で交換することで費用を抑えられるというメリットがありますが、正しい手順で正確に取り付けなければ、きちんと開閉できないなどのトラブルが起きる可能性もあります。
また、既存の錠ケースに適合するシリンダーに交換するとなると、型番、サイズ、色、などの下調べにもかなりの時間を要します。
自分で交換する場合は、これらのリスクを頭に入れておく必要があります。
自分で交換する手順や注意点については以下の記事でも解説しています。併せてご覧ください。
鍵屋に交換を依頼する
クレ5-56の使用の有無に関わらず、鍵が固い、回しにくい、といった鍵穴内部の損傷や摩耗に起因するトラブルの根本的な原因は経年劣化であることが殆どです。
ですので、もし鍵が回しにくいといったことが原因でクレ5-56を使用した場合は、シリンダー交換を依頼することも検討した方が良いでしょう。
このような場合は分解洗浄を行って一時的に症状が改善されても、同じ症状が再発する可能性が高く、最終的にはシリンダー交換となってしまうことが多いです。
シリンダーの使用年数が10年を超えているようであれば、分解洗浄よりもシリンダー交換を検討した方が、コストも余計にかからず結果的にはお得と言えるかもしれません。
鍵屋に交換を依頼した場合の費用相場については以下の記事をご覧ください。
鍵が固い・回らないときはどうすれば良い?
そもそも鍵に不具合を感じたときに何をすべきなのか。鍵穴にクレ5-56を使わない適切な対処法について解説します。
鍵を掃除する
鍵自体が汚れていないか確認しましょう。
鍵穴の不調と考えがちですが、実際は鍵自体に付着したホコリや汚れが原因で、スムーズに回らなくなることがあります。
鍵を掃除する際は、乾いた布やティッシュなどで汚れを拭き取りましょう。特にギザギザ部分やくぼみ部分に汚れが溜まりやすいので、柔らかい歯ブラシなどを使うときれいに取り除けます。
鍵穴内部のゴミやほこりを取り除く

玄関の鍵穴の場合、室外にさらされているため、常にホコリや細かなゴミが鍵穴から入り、シリンダー内部に蓄積しています。
また、鍵を回したときの摩擦で生じる金属粉も鍵穴の掃除を怠ると、どんどん蓄積されていきます。
ですので、エアダスターを吹き付けてゴミを飛ばしたり、掃除機でゴミを吸い取るだけで、ある程度鍵穴をきれいにできます。
しかし、爪楊枝やヘアピン、針金などでゴミを取り除こうとすると、鍵穴内部の部品が傷つき、シリンダーが正常に動かなくなる恐れがあるので注意しましょう。
鍵穴の掃除方法については以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
鍵穴専用の潤滑剤を使用する
鍵や鍵穴を掃除しても動きが良くならない場合は、潤滑剤が少なくなっている可能性があります。元々シリンダー内には潤滑剤が塗られていますが、長年使用していると減っていきます。
そして潤滑剤が減ってくると、鍵の滑りも悪くなっていきます。鍵穴専用の潤滑剤はパウダー状で速乾性があるので、ホコリやゴミが付着しにくくなっています。
ただ、パウダー状なので入れ過ぎると詰まってしまう恐れがあります。特に水分が残ったまま使用するとダマになる可能性もあるので、使用するときは注意が必要です。
鍵を鉛筆でなぞる

もし鍵穴専用の潤滑剤が手元にない場合は、鉛筆を鍵の溝に塗るという方法もあります。鉛筆の芯に含まれる黒鉛には金属を滑りやすくさせる効果が含まれています。
やり方は簡単で、まず鉛筆を鍵の凹凸やくぼみに沿ってなぞります。その後、鍵を鍵穴に数回抜き差しし、内部に黒鉛を馴染ませます。
できるだけ黒鉛が多く含まれている、Bや2Bの鉛筆を使うとさらに良いでしょう。
鍵穴にクレ556を使ってしまった場合はキーレスキューサービスにご相談ください!

クレ5-56は手に入れやすく、幅広い製品に活用できるため、鍵穴にも使用してしまう方がいますが、ホコリやゴミを吸着して固めてしまい、最終的にはシリンダーの故障につながります。
万能な潤滑剤であっても、適切な場所で使用しないと効果を発揮しません。また、クレ5-56だけではなく、自転車用のスプレー、サラダ油なども鍵穴には使用できませんので、注意してください。
鍵の動きが悪いときは、鍵穴の掃除や鍵穴専用の潤滑剤を使用するようにしましょう。すでに鍵穴にクレ5-56を使ってしまい、ご自身で対処できない場合は、信頼できる鍵屋に依頼して下さい。
弊社キーレスキューサービスは年中無休で出張費・見積費が0円です。いくらくらいかかるのか知りたい、というだけでもすぐにお伺いできますし、キャンセル料金も必要ありません。ぜひ気軽にお電話ください。
