玄関の鍵をキーレスに交換するにはいくら?交換・後付けの費用相場やキーレス錠の種類を紹介

この記事でわかること
- キーレス錠の種類
- メカニカルキーレス錠のメリット・デメリット
- おすすめのメカニカルキーレス錠

記事監修者
名前:金城 甫(きんじょう はじめ)役職:マネージャー
これまで4,000件以上の鍵トラブルを解決してきたベテラン鍵職人。“お客様に寄り添った接客”をモットーに、日々現場に駆けつけている。
「玄関の防犯性を高めたい」「子鍵をよく紛失してしまうのでなるべく持ち歩きたくない」とお考えではありませんか?
そんな方は玄関の鍵をキーレス錠に交換することをおすすめします。キーレス錠に交換すれば、鍵穴がないためピッキング対策になり、子鍵を持ち歩く必要もなくなるため、利便性と防犯性を高めることができます。
そこで本記事では、キーレス錠について解説したうえで、電池や電気を使用しない暗証番号タイプのメカニカルキーレス錠について詳しく解説します。
目次
キーレス錠とは
キーレス錠(キーレスキーとも言います)とは物理的な子鍵を使用せずに、カードキーや暗証番号、指紋認証などで施解錠が可能なシステムのことです。近年では自宅の玄関を初め、マンションの共用部、オフィスなど、さまざまな場所で導入されています。
キーレス錠の種類
キーレス錠には、主に電子錠、電気錠、メカニカルキーレス錠の3つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解することで、自分のニーズや予算に合ったタイプを選ぶことができます。
電子錠

電子錠とは、電池の電力を用いるキーシステムです。暗証番号、カードキー、指紋認証、スマートフォンなどの解錠方法があります。
電池を電源としているため、電池切れによって作動しなくなるリスクがあります。万が一、外出しているときに電池が切れてしまうと、自宅に入れなくなり、閉め出しに遭う可能性があります。ですので、定期的な電池交換が必要となります。
大抵の電子錠は、電池が切れて家に入れなくなったときなどのために、本体下部にある非常用の電池接続部に9V形乾電池を押し当てて、指定の解錠方法で開けられるようになっています。
製品によって使用する電池の種類や解錠方法などは異なりますので、取扱説明書やホームページなどを確認しておきましょう。
また、電池の交換時期になると、アラームが鳴ったり、電池のマークが点滅したりして、交換時期をお知らせしてくれるものもありますので、見逃さないようにしましょう。
配線工事は不要で、対応している錠前であれば、ドアに新たに加工することなく取り付けが可能です。電気錠よりも取り付けが比較的簡単で、コストも抑えられるため、導入しやすいと言えます。
電気錠

電気錠とは、電池ではなく電気配線による電力供給のある錠前です。電子錠と違って、定期的に電池交換をする必要はなく、電池切れを起こす心配もありません。
電気錠は主に複数の人間が出入りする、施設やマンションのエントランス、オフィスなどで使用されることが多いです。
ただし、取り付けには有資格者による配線工事、制御盤の設置、遠隔操作するための操作機器などが必要なため、設置費用が高額になります。
電気錠のデメリットとして、停電などが起きたときに施解錠が一時的に不可能になる、という点がよく挙げられますが、そういった場合を想定して対策が施されている電気錠もあります。
例えば、美和ロック製の電気錠には、「アンチパニック機能」という、施錠していても室内側からドアノブを回すだけでドアを解錠できる機能があったり、室内側からはサムターンで、室外側からは物理キーで解錠することもできます。
また、停電が起きたときに、施錠するか解錠するか停電が起きる直前の状態に保つかが、機種によって決まっています。非常口などで使用する際は解錠する機種、マンションのエントランスなどで使用する際は施錠する機種にしたりと、使用用途に合わせて選ぶのが良いでしょう。
メカニカルキーレス錠

メカニカルキーレス錠とは、電池や電気を使用せず、あらかじめ登録した暗証番号を押すことで、錠前内部にあるデッドボルトが作動して施解錠できるメカニカル構造のキーレスシステムです。
多くは古くからある機械式のオートロック機能を備えており、ラッチボルトの近くにトリガーと呼ばれる突起を備えています。
ドアを閉めたときに、この突起が扉枠に触れて引っ込み、連動してデッドボルトが押し出され、施錠されるようになっています。
※ラッチボルト=ドアの側面から出ている三角形の部品。ドアが風などで開かないようにするための仮止めの役割。
メカニカルキーレス錠のメリット
ここまでキーレス錠の種類をご紹介しましたが、電子錠と電気錠には電子式ならではのメリット・デメリットがあります。メカニカルキーレス錠は電池や電気を必要としないため、電子錠と電気錠のデメリットをカバーできるという強みがあります。
ここでは、電子錠と電気錠にはないメカニカルキーレス錠の4つのメリットを紹介します。
電池切れの心配がない
電子錠は電池で動いているため、定期的に電池交換が必要となりますが、メカニカルキーレス錠は電池が不要なため、電池切れの心配はなく、電池を交換する手間もかかりません。
閉め出しの心配がない
同じく電池を使用しませんので電池切れによる閉め出しに遭うこともありません。
配線工事が不要
メカニカルキーレス錠は機械式ですので、設置時の配線工事なども必要ありません。設置費用や時間を大幅に節約することができますし、電気を使用しないため停電の影響は受けません。
耐久性が高い
故障の引き金となり得る電子部品が存在しないため、電子錠・電気錠と比較して故障リスクが低く、長期間安心して利用できます。
また、電子錠・電気錠よりも耐候性があり、雨水や砂埃にも強いため、屋外でも十分な性能を発揮します。
メカニカルキーレス錠のデメリット
ここまで他のキーレス錠にはないメカニカルキーレス錠のメリットをご紹介しました。では、反対にデメリットは何があるのか。以下で詳しく解説します。
暗証番号が知られやすい
長い間使用し続けるうちに、ボタン部分の塗装が剥がれてしまい、暗証番号が推測されてしまうという懸念があります。特に玄関などでは使用する頻度も多いため、暗証番号の部分だけ塗装が剥げたり劣化していないか、注意する必要があります。
また、電子錠などがよく採用しているランダムテンキーのような機能はないため、暗証番号を覗き見されてしまうと第三者に番号が知られてしまう危険性もあります。
暗証番号の変更方法が複雑
多くのメカニカルキーレス錠は、暗証番号を変更するために本体を一度取り外す必要があり、取り外したあとも複雑な設定手順に従って番号を変更する必要があります。
変更作業が煩わしい、という理由でずっと同じ番号を使い続けていると、推測されやすくなります。
暗証番号を守る対策

メカニカルキーレス錠のデメリットを紹介しましたが、逆に言うと、暗証番号の漏洩を防ぐことができれば、セキュリティを保つことができます。
ここでは、暗証番号を守るための有効な対策を紹介します。
カバーをつける
暗証番号の入力部分にカバーを取り付けることで、周囲からの覗き見防止につながります。メーカーから専用のカバーも販売されているため、そちらを使用すると良いでしょう。
定期的に暗証番号を変える
暗証番号を推測されないようにするには、定期的に暗証番号を変えることが有効であり、防犯性の向上にもつながります。
変更方法は各製品によって異なるため、取り扱い説明書やメーカーのサイトで手順を確認しておきましょう。
あまり頻繁に番号を変更し過ぎると、覚えられなくなったり、古い番号と新しい番号の区別がつかなくなってしまうので、家族や会社の同僚と話し合って、変更する頻度を決めておくのが良いでしょう。
また、暗証番号が外部の人に知られてしまったときは、侵入される可能性がありますので、早急に暗証番号を変更するようにしましょう。
暗証番号を変更する際は閉じ込め・閉め出し防止のため、必ず扉を開けた状態でおこないましょう。
おすすめのメカニカルキーレス錠
メカニカルキーレス錠の特徴を紹介してきましたが、実際にどんな商品があり、どんな機能を備えているのでしょうか。
ここでは、メーカー別におすすめの商品を紹介します。求める機能や予算に合った商品を探してみてください。
キーレックス
「キーレックス」とは大正5年創業の株式会社長沢製作所が製造・販売している、メカニカルキーレス錠のシリーズです。長沢製作所はメカニカルキーレス錠の他にも室内用レバーハンドル、戸建て住宅の玄関ドアなどに使われる装飾錠なども製造しています。
長沢製作所はキーレックスを運用・管理するための公式アプリを出しており、アプリのスキャン画面から製品に貼っているQRコードを読み取るだけで暗証番号を確認できたり、複数人で利用しているときに、暗証番号を変更した際に利用者全員に一斉に通知できたりする便利な機能が備えられています。
キーレックスを購入したときは、アプリも一緒に導入されると、さらに利便性が高まることが期待できます。
殆どの製品の取っ手部分には、無理にこじ開けようとすると安全装置が作動し、取っ手が空転する「こじ開け防止機能」、第三者に暗証番号を見破られないように、どのボタンを押しても同じ感触にする「不正読み取り防止機能」が搭載されており、防犯性に優れています。
キーレックスは2023年時点で6機種取り揃えており、住宅だけでなく、交通機関や医療機関、オフィスや銀行など幅広い場所で活用されています。
それぞれの環境に合った機能を持つ機種を選ぶことができますので、下記で紹介します。
キーレックス500

キーレックス500は、キーレックスシリーズの中でサイズが最もコンパクトで、価格もリーズナブルです。一部を除いてオートロック機能は備えていないため、ご自身で本体下部についているロックターンを回すか、鍵付きタイプを選んだ場合は付属のキーを差し込んで施錠する必要があります。
面付本締錠と彫込本締錠があり、自宅の防犯性を高めるために1ドア2ロックにしたい方などにおすすめです。また、500はキーレックスシリーズの中で唯一、面付本締錠タイプに両面ボタン仕様があります。
両面ボタン仕様とは、室外側だけでなく室内側にもボタンがついている仕様のことを指します。室内側からドアを開けるときも暗証番号の入力が必要となりますので、入居者の徘徊を防止したい老人ホームや外に勝手に飛び出すことを防ぎたい子供を預かる施設などによく採用されています。
面付本締錠タイプは既に廃番となっている「キーレックス047」から、追加の加工をすることなく交換することができます。
さらに、インテグラル錠の取替用も取り揃えており、キーレックスシリーズの中で唯一、横向きで使用できるため、横框のドアにも取り付けることができます。
暗証番号は最大12桁まで設定可能で、4,096通りの番号の組み合わせ数があります。
また、キーレックス500は現在使用している他社メーカーの錠ケースをそのまま使用して、シリンダーのみをキーレックスに交換することが可能です。対応できるメーカー・機種については下の表をご覧ください。
メーカー | 対応する錠ケース(※フロントプレートの刻印でご確認下さい) |
美和ロック | BH/DA/LA/DZ/13LA/MA/FG/FG3/FF/FN/ AD/LAT/LAL/ALTA/AUT/FGT/SL80/POSTE/LSP/LA |
GOAL | LX/LD/LG/HD/SX/LH/HN/SAK |
シブタニ | SL10/KSC |
キーレックス800

キーレックス800は、スリムなデザインで、引き戸にも対応できるのが魅力です。一部を除いてオートロック機能が搭載されており、暗証番号はキーレックス500と同じく、最大12桁まで設定可能で、4,096通りの番号の組み合わせ数があります。
キーレックス800はシリーズの中で唯一、召し合せ錠として使えるタイプがあります。召し合せ錠とは、引き違い戸とも呼ばれ、2枚の戸を閉じたときに重なり合う部分につける鍵のことを指します。
引き戸用タイプの中には、美和ロック、GOAL製のシリンダーをキーレックス本体下部に組み込むことが可能な製品があります。ですので、逆マスターキーシステムを採用しているマンションなどでも、子鍵を2種類持つ必要はありません。
シリンダーは自前で用意して長沢製作所に送る必要があり、キーレックス本体に組み込んでから出荷されます。組み込みが可能なシリンダーは下記の表をご覧ください。
※逆マスターキーシステム=主にマンションなどで採用されている、各部屋の鍵で共用エントランスや共用の勝手口なども解錠できるキーシステム。
メーカー | 対象機種 |
美和ロック | LAタイプ(U9/JN/PR) |
GOAL | LXタイプ |
GOAL製のシリンダーを組み込む場合は、シリンダーの周りを覆っているシリンダーカラーも必要となりますので、ご注意ください。
また、「空錠切替機能」という、暗証番号の入力をせずにドアを開けることができる機能がついています。人の出入りが多いなどの理由で一時的に開閉をスムーズにしたい場合などに最適な機能です。
ただし、この機能は両面ボタンタイプには非搭載となります。
キーレックス4000

最大15桁の暗証番号が設定可能で、32,768通りの番号の組み合わせが可能な、防犯性に非常に優れたキーレックスシリーズの最上位機種です。全てのタイプにオートロック機能、空錠切替機能(両面ボタンタイプを除く)を備えており、レバータイプと握り玉タイプがあります。
さらに、「クイックナンバーチェンジ」という、扉から本体を取り外すことなく、簡単に暗証番号の変更ができる機能が搭載されています。専用キーを使用して暗証番号を変更する「シリンダー切替」と、コインやマイナスドライバーを使用して変更する「プラグ切替」の2タイプがあります。
両面ボタン仕様にもこの機能が搭載されており、頻繁に番号を変更するときでも、手間をかけずに素早く変更することができます
また、緊急時に本体下についているカバーを割って、中にあるレバーを回すだけで、番号が分からなくても解錠できる「非常開錠装置付」の仕様もあります。主に工場の通路や、非常口の扉など、緊急時に暗証番号がわからなくても開けられる機能が必須な場所で採用されています。
4000は、主に多くの人が出入りするオフィスや施設などで使用されることが多く、戸建て住宅の玄関に採用されることは殆どありません。
ハイテックデジタルドアーロック

「ハイテックデジタルドアーロック」とは、昭和60年創業の株式会社太幸が販売しているメカニカルキーレス錠です。
オートロック機能搭載のものから引き戸にも使えるものまで幅広い機種があります。一部のオートロック機能搭載製品は、室内側のツマミ操作で、施錠しない状態にもできます。
機種の中には「スーパースリム30」という、開き戸と引き戸の両方に使えるタイプもあります。
また、室内側にあるサムターンを外側から何らかの方法で操作して開錠し、侵入する「サムターン回し」対策として、殆どの製品が脱着式サムターンになっています。これにより、バールを使ってドアの隙間から開錠を試みたり、郵便受けを破壊して開けようとしてもサムターンがないため、開錠されるリスクを減らすことができます。
デジタルロック

「デジタルロック」とは、昭和38年創業の株式会社フキが製造・販売しているiNAHOブランドのメカニカルキーレス錠です。
カラーはシルバー、ゴールド、茶色の3種類を取り揃えており、住宅や勝手口などの補助錠として最適です。ツマミを無理に回すと空回りする設計になっているため、不正に解錠されるリスクを回避できます。
また、オートロック機能を備えたタイプもあり、常に施錠が必要な研究室、危険物保管庫、管理室などに最適な補助錠です。室内側のレバーで通常モードとオートロックモードを切り替えることができるので、状況に合わせて柔軟に使用することができます。
キーレス錠の交換費用相場

ここからはキーレス錠の交換費用相場を紹介します。
種類 | 費用相場 |
メカニカルキーレス錠 | 作業代¥11,000~(税込)+部品代¥23,000~(税込) |
電子錠 | 作業代¥11,000~(税込)+部品代¥25,080~(税込) |
新たにドアに加工が必要な場合は作業代に加工費が追加されます。
メカニカルキーレス錠は、片面ボタンよりも両面ボタン仕様の方が部品代が高くなります。
また、電気錠は第二種電気工事士あるいは第一種電気工事士の国家資格を持つ専門のプロによる配線工事などが必要です。費用については施工に入る前に担当者に正確な見積費を出してもらいましょう。
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