鍵は入るけど回らない原因とは?自分でできる対処法と予防策を鍵屋が解説!

この記事でわかること
- 玄関の鍵が回らない主な原因
- 自分で試せる具体的な対処法
- 自力で解決できない場合の対応方法
- 鍵修理や鍵交換にかかる費用相場と作業時間の目安
- 日常的に取り入れられる予防策

記事監修者
名前:金城 甫(きんじょう はじめ)役職:マネージャー
これまで4,000件以上の鍵トラブルを解決してきたベテラン鍵職人。“お客様に寄り添った接客”をモットーに、日々現場に駆けつけている。
玄関の鍵がスムーズに入るのに回らないと、急いでいるときや雨の日などに特に焦りや不安を感じますよね。
本記事では、鍵が入るけど回らない状況に直面した方に向けて、自力での対処法から専門業者への依頼タイミングまでを幅広く解説します。
鍵が入るけど回らなくてお困りの方は是非とも参考にしてみてください。
目次
玄関の鍵が回らない原因とは?
玄関の鍵が回らない原因はさまざまです。多くの場合、鍵穴内部の汚れや部品の摩耗、錆などの物理的な要因が影響しています。
また、気温の変化によって金属が収縮することや、定期的な潤滑が不足していることも原因の一つです。
ここでは代表的な原因を紹介し、それぞれのメカニズムをわかりやすく説明します。
鍵穴にゴミやほこりが詰まっている

鍵穴内部にホコリや砂ぼこりなどの微細なゴミが溜まると、鍵を挿入した際にピンが正しく動かず、最後まで回転できなくなります。
特にドアの下部が隙間風にさらされやすい場合や、近隣で工事や土埃が発生している場合には、鍵穴にゴミが入り込みやすくなるため注意が必要です。
ゴミが詰まると鍵が途中で引っかかる感触があり、無理に回そうとすると内部のピンやバネを傷める恐れがあります。
そのため、定期的な清掃や埃の多い環境では鍵穴カバーを付けるといった予防策が有効です。
錠前内部の部品の摩耗や劣化
ドアの錠前には、ピンやバネ、シリンダーなど複数の精密部品が組み合わさっており、長年使用を続けるとこれらが摩耗したり劣化したりします。
部品が摩耗すると、鍵を挿し込んで回そうとしても内部で歯車やピンがかみ合わず、途中で止まってしまうことがあります。
特に、自宅やオフィスなどで頻繁に出入りするドアは摩耗しやすく、数年経過したシリンダーでは内部部品の摩耗が進行していることがあります。
劣化した部品は見た目では判断しにくいため、自己流の分解はリスクが高く、かみ合わせが悪くなっている場合は専門業者に点検を依頼することをおすすめします。
鍵自体の摩耗や変形
長期間同じ鍵を使い続けると、鍵本体のギザギザ部分が削れてかみ合わせが悪くなり、シリンダー内部のピンと正確に合わなくなることがあります。
また、金属疲労やうっかり力を入れすぎて曲がってしまうと、鍵が正常にシリンダー内で回転しません。
摩耗や変形した鍵をさらに無理に回すと、鍵先が折れたり内部部品を傷めたりする恐れがあるので、スペアキーで動作を確認し、摩耗がわかる場合は速やかに鍵の作り直しや交換を検討する必要があります。
錆や腐食が起きている

湿気や雨水が直接かかる玄関ドアでは、鍵本体やシリンダー内部に錆が発生しやすくなります。
錆びた金属は表面がザラザラになり、ピンがスムーズに上下しなくなるため、鍵を抜き差ししたり回したりする際に引っかかりを感じます。
特に海沿いなどの湿度の高い地域では錆や腐食が進行しやすいため、屋外に設置された玄関には防水キャップを取り付けたり、定期的に乾燥剤を近くに置いたりすると効果的です。
錆が深刻化すると内部部品の交換が必要になるケースもあるため、発見したら早めに対策を講じることが重要です。
鍵穴内部の潤滑が不足している
鍵穴内部には金属同士が摩擦する部分が多くあり、潤滑が不足すると動きが固くなります。
特にマンションの玄関前など寒暖差が激しい場所では、潤滑が不足しやすく、鍵を挿して回しても重たく感じたり、スムーズに回らなかったりします。
潤滑不足は他の原因と重なって問題を悪化させることが多く、普段から月に一度程度、シリンダー用潤滑剤を注入しておくと、鍵の動きを滑らかに維持できます。潤滑剤を選ぶ際は、鍵穴専用の潤滑剤を使用するようにしましょう。
玄関の鍵が回らないときに自分でできる対処法
鍵が回らないとき、急いでいる場面でも焦らず冷静に対処することが大切です。
ここでは、手軽に試せる方法を7つ紹介します。どれも専門業者を呼ぶ前に確認できる簡単な手順で、原因に応じて順番に試してみてください。
尚、無理に力を加えると鍵や錠前を傷めることがあるため、あくまでも軽い力で試すようにしましょう。
別の鍵を使ってみる
スペアキーや予備の鍵があれば、まずはそちらを試してみましょう。
鍵本体の摩耗や変形が原因の場合、スペアキーでは問題なく回ることがあります。もしスペアキーでも同じ症状が出る場合は、鍵本体ではなくシリンダー内部に問題がある可能性が高いです。
逆に、スペアキーでスムーズに回るようであれば、元の鍵が摩耗しているサインと考えられます。その際は鍵の交換を検討しましょう。
鍵の摩耗によるトラブルは気づきにくいため、定期的にスペアキーでも動作確認を行うことをおすすめします。
鍵や鍵穴を掃除する

鍵穴内にホコリや砂ぼこりが溜まっていると、内部のピンがかみ合わず回りにくくなります。
掃除機の細いノズルやエアダスターを用いて、鍵穴に詰まったゴミを吹き飛ばす方法が効果的です。
また、鍵本体に付着した汚れを歯ブラシなどで軽くこすると、鍵の歯車部分の汚れを取り除くことができます。
掃除機を使う際は、鍵穴に強い吸引力をかけすぎないように注意し、エアダスターは鍵穴に近づけすぎず、軽く吹きかける程度にとどめるようにしましょう。
鍵穴の掃除方法については以下記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
鍵穴専用の潤滑剤を使用する

鍵穴内部の潤滑が不足していると、金属同士の摩擦が大きくなり、鍵が重く感じたり回りにくくなります。
市販の鍵穴専用の潤滑剤を鍵穴に数滴差し込み、鍵を数回抜き差しすることで、内部に均一に潤滑剤を行き渡らせます。
この際、スプレータイプのものはノズルを鍵穴にしっかり固定し、少量ずつ吹きかけるようにしましょう。潤滑剤が内部に行き渡ったら、鍵をゆっくり回してスムーズに動くか確認します。
定期的に行うことで、錠前内部の摩耗を防ぎ、長期間安定した動作を維持できます。
鉛筆(黒鉛)を使用する

鍵穴専用潤滑剤が手元にない場合は、鉛筆の芯(B~2B程度の柔らかめのもの)を活用できます。
鉛筆の芯を鍵のギザギザ部分に軽くこすりつけると、黒鉛が鍵に付着し、鍵穴内部で滑りを良くします。
黒鉛が均一に行き渡るよう、鍵を数回抜き差しし、その後余った黒鉛を柔らかい布で拭き取ってください。
ただし、黒鉛は埃を呼び寄せやすいため、あくまでも緊急措置として使用し、後日専用潤滑剤で再度メンテナンスを行うことをおすすめします。
鍵や鍵穴を温める
冬場など気温が低いと、金属が収縮して鍵が回りにくくなる場合があります。
このような場合は、ドライヤーの温風を鍵や鍵穴周辺に当てて温めると、金属の収縮を緩和できます。
ただし、高熱を長時間当てると錠前内部の樹脂部品やゴムパッキンを痛める恐れがあるため、距離を保ちながら温風を当て、鍵が回るようになるまで数十秒程度温めるようにしましょう。
また、湿気が原因で凍結している場合は、鍵穴専用の解氷スプレーを使うと効果的です。
ストライク位置を調整する

ドア本体とストライク(受け金具)の位置がずれていると、鍵は差し込めていてもラッチ(かんぬき)が正しく噛み合わず、鍵を回しても空回りすることがあります。
ドアを閉めた状態で鍵を回しにくい場合は、一度ドアを開けてストライクの固定ネジを緩め、少しずつ上下左右に位置を調整してみましょう。
ストライクを正しい位置に合わせ直したら、厚紙などを挟んでドアを閉め、鍵を回してスムーズに動くか確認してください。
調整後に改善しない場合は、ドアの建て付け自体に問題がある可能性があるため、専門業者に相談することをおすすめします。
鍵を交換する

鍵が摩耗したり変形したりしている場合、自力での修理は難しく、交換が必要となります。
鍵屋やホームセンターなどで同じタイプの鍵を購入し、交換することでスムーズな動作が復活します。交換後は新しい鍵で動作確認をし、問題が解消されているかチェックしましょう。
また、鍵の交換にはシリンダーのみを交換する方法と錠前を交換する方法があり、費用や手間は異なります。
自宅のドアの仕様や故障している範囲に合わせて、鍵屋に相談しながら最適な交換方法を選ぶことが重要です。
自分で鍵交換を行う方法については以下記事をご覧ください。
自分で玄関の鍵が回らないトラブルを解決できない場合は?
自力で掃除や調整、潤滑を試しても鍵が回らない場合は、トラブルの根本原因が深刻化している可能性があります。
特に賃貸物件やシリンダー部品の摩耗が疑われるケースでは、自分で無理に分解・修理せず、適切な窓口や専門業者に相談することが不可欠です。
以下では、ケースごとの対応方法について解説します。
賃貸物件の場合
賃貸住宅で鍵が回らなくなった場合は、まず管理会社や大家さんに連絡しましょう。
自己判断で修理を試みると、契約違反や費用負担の問題が生じることがあります。
管理会社の規定に従い、修理費用や交換費用の負担者が誰になるか確認することが大切です。
多くの賃貸契約書には、鍵の紛失や破損時の対応について記載されており、修理業者への連絡先を指定している場合もあります。
まずは契約内容を確認し、管理会社の指示に従って対応してください。
賃貸物件の鍵交換については以下記事をご覧ください。
シリンダー交換・部品交換が必要な場合
錠前内部の部品が摩耗したり錆が進行したりしている場合、自力での修理は困難です。
特にシリンダー内部の摩耗やバネの劣化が原因で鍵が回らない場合は、専門業者によるシリンダー交換や錠前全体の交換が必要になります。
シリンダー交換は精密な作業で、防犯性能を維持するためにも適合するシリンダーを使用しなければなりません。
ホームセンターなどで購入できるシリンダーでは防犯性能が低いシリンダーもあるため、必ず実績のある鍵屋に依頼し、適切な部品交換を行ってもらいましょう。
自力での対応が難しいと判断した場合
掃除や潤滑、ストライク調整などを試しても改善が見られない場合、内部の故障や劣化が深刻化している可能性があります。
特に鍵が引っかかる音がする、鍵を抜こうとしても抜けない、スペアキーでも回らないといった状況では、無理に力をかけると鍵先が折れてさらに深刻なトラブルを招くことがあります。
このような場合には、自力での対応を諦め、鍵屋やドアメーカーの修理窓口に連絡するようにしましょう。
専門業者であれば、故障箇所を正確に診断し、安全かつ確実に修理や交換を行ってくれます。
専門業者の選び方については以下記事をご覧ください。
鍵修理や鍵交換の費用相場と作業時間の目安
鍵修理や交換を業者に依頼する際、事前に費用と作業時間の目安を把握しておくと安心です。
修理と交換それぞれにかかる費用は業者や地域によって異なりますが、おおよその相場を知っておくことで、追加費用や予想外の高額請求を避けることができます。
以下では、鍵修理と鍵交換の代表的な費用相場と作業時間について解説します。
鍵修理や鍵交換にかかる費用の相場

鍵修理の場合、一般的にシリンダー清掃や潤滑、簡易な部品交換であれば8,000~15,000円程度が多い相場です。
錠前内部の小さな部品交換だけで済めば、追加で5,000円前後の部品代がかかる場合もあります。 一方、シリンダー丸ごと交換する場合は、15,000~30,000円程度が相場です。
高性能なディンプルキー対応のシリンダーや防犯性の高い製品を選ぶと、交換費用がさらに10,000円以上上乗せされることがあります。
出張費用や深夜・早朝などの時間帯による割増料金も発生する可能性があるため、見積もり時に確認するようにしましょう。
鍵交換費用については下記記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
鍵修理や鍵交換の作業時間の目安
鍵修理の基本的な作業(鍵穴清掃・潤滑・簡易点検など)であれば、30分~1時間ほどで完了する場合が多いです。
シリンダー内部の部品交換が必要な場合でも、部品が在庫にある業者であれば1時間半~2時間程度で作業が完了します。
錠前交換となると、鍵一式の交換が必要になるため、2時間~3時間程度かかるケースがあります。
なお、特殊なドアや古い建物の場合は、部品の取り寄せが必要になることがあり、その場合は作業完了までに数日かかることがあります。
鍵修理にかかる時間については以下記事で解説しています。併せてご覧ください。
修理と交換の判断基準は?
修理と交換を選択する際は、まず錠前内部のトラブルがどこにあるかを見極める必要があります。
鍵穴の内部にわずかなゴミが詰まっている程度であれば、清掃と潤滑で解決できるため、修理(掃除・潤滑・部品交換)を選ぶとよいでしょう。
一方、シリンダー内部のピンやバネが摩耗・変形している場合や、錆が深刻化している場合は、修理しても根本的に動作が戻らない可能性があります。
そのため、シリンダー交換を検討します。 また、鍵を交換した後の防犯性能や安心感を重視する場合も、交換を選択するメリットがあります。
見積もりを依頼する際には、業者に「掃除でどこまで直るのか」「交換した場合のメリット・デメリット」を詳しく聞き、最適な判断をしましょう。
玄関の鍵が回らない問題を未然に防ぐための予防策
鍵トラブルを未然に防ぐためには、日々のメンテナンスが重要です。ほんの少し手間をかけることで、錠前内部の異常を早期に発見し、大きなトラブルを避けることができます。
ここでは、簡単に取り入れられる予防策を3つ紹介します。
定期的に鍵穴の掃除を行う

高温多湿や埃の多い環境では、鍵穴内部にホコリや砂ぼこりが溜まりやすくなります。月に一度程度、エアダスターや掃除機の細いノズルを使って鍵穴の内部を軽く掃除しましょう。
掃除を行うことで、ゴミがピンに絡まって動きを妨げることを防ぎ、鍵がスムーズに回る状態を維持できます。
特に台風や大雨が続いた後などは、鍵穴に意図せず雨水が入り込んで湿気を帯びる可能性があるため、その都度掃除や乾燥を行うと安心です。
専用の潤滑剤で鍵穴を定期的にメンテナンスする
鍵穴内部に潤滑剤を注入することで、金属同士の摩擦を減らし、鍵をスムーズに回すことができます。
必ず鍵穴専用の潤滑剤を使用し、月に一度程度、鍵穴に少量吹きかけてください。その後、鍵を数回抜き差しして潤滑剤を内部全体に行き渡らせましょう。
滑剤を定期的に注入することで、長期間にわたりスムーズな動作を保つことができ、内部部品の摩耗も軽減されます。
電子錠に交換する

機械式シリンダー錠は金属部品の摩耗や錆などが原因でトラブルが起こりやすい一方で、電子錠はキー不要で暗証番号やICカードを使って施錠・解錠ができます。
電子錠に交換することで、鍵穴のトラブルリスクを大幅に減らすことが可能です。また、暗証番号やカードの紛失リスクを軽減できる点もメリットです。
電子錠の導入には数万円~十万円単位の費用がかかりますが、長期的にはメンテナンスコストを抑え、防犯機能を向上させる効果が期待できます。
専門業者に相談し、自宅のドアに適した電子錠を選ぶようにしましょう。
電子錠については下記記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
鍵が入るけど回らないときはキーレスキューサービスにご相談を!

玄関の鍵が回らない原因は多岐にわたりますが、まずは自分でできる清掃や潤滑などの対処法を試すことで、問題が解決する場合が多いです。
自力での対応が難しい場合や賃貸契約のルールに則って対応する必要がある場合は、専門業者への依頼を検討してください。
費用相場や作業時間の目安を把握し、見積もりを取る際は「修理でどの程度直るか」「交換したほうが得策か」をしっかり確認すると安心です。
日常的なメンテナンスを怠らず、電子錠への交換も視野に入れることで、長期的に鍵トラブルを予防し、安全な生活を実現しましょう。
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