鍵穴の掃除方法【潤滑スプレーでお手入れ!】玄関・室内ドア・窓の鍵

この記事でわかること
- 鍵穴の正しい掃除方法
- 鍵穴の掃除でやってはいけないこと
- 鍵穴掃除をしても解消しない原因

記事監修者
名前:金城 甫(きんじょう はじめ)役職:マネージャー
これまで4,000件以上の鍵トラブルを解決してきたベテラン鍵職人。“お客様に寄り添った接客”をモットーに、日々現場に駆けつけている。
鍵は日常生活の中で欠かせない存在ですが、使い続けるうちに鍵穴には様々な汚れや摩耗が蓄積し、回らない、抜けにくいなどの鍵トラブルが発生することがあります。
そこで、このコラムではシリンダー錠の鍵穴のお手入れについてご紹介します。潤滑スプレーを使って鍵穴の清掃を行う方法や、鍵トラブルの原因であるシリンダー内の汚れについて詳しく解説します。
目次
回らない・抜けにくいなどの鍵トラブルの原因
鍵の動作がスムーズでないと、日常生活が面倒になります。玄関は勿論ですが、室内の鍵付きドア、たとえばトイレ・浴室などのドアの動きが悪いと不安になりますよね。
最近では窓のクレセント錠に鍵付きのものを選んでいる方も多いと思われますが、鍵穴に子鍵を入れて施錠するタイプはトラブルの原因が室内錠などとほぼ同じと考えても良いでしょう。
こちらの鍵も不具合がおこると施錠ができなくなり、防犯性能がガタ落ちしてしまいます。
鍵トラブルの主な原因には、どういったものがあるのでしょうか?
また、症状によって原因が異なったりするのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
シリンダー(鍵穴)内部が汚れている
鍵の動作がスムーズでない主な原因の1つは、シリンダー内部の汚れや埃の蓄積です。時間と共に、外部からの異物や塵、埃などが鍵穴に侵入し、内部の細かい部品に蓄積します。
特にタンブラーの動きのもととも言えるバネ(スプリング)に汚れが貯まると、タンブラーが正常に動かなくなり、鍵が回しにくい、固い、といった動作不良となってあらわれます。
潤滑剤が減っている
もう一つの原因は、潤滑剤不足です。シリンダーにはもともと製造時に潤滑剤が塗布されていますが、経年とともに減少し、シリンダーの回転に影響してきます。
潤滑剤は鍵穴内部の摩擦を軽減し、鍵のスムーズな動きをサポートします。
鍵穴の正しい掃除方法
鍵穴の掃除は、鍵の操作をスムーズで引っかかりなどのストレスがないものにするために重要ですが、意外と鍵穴(シリンダー)の中を掃除できるということを知らない人の方が多いのも事実です。
シリンダーは玄関用であれ室内用であれ、定期的に掃除をすることで長持ちするものです。長い間使っているのに、一度も手入れをしたことがない方は是非、以下のうちのひとつでも良いので実行してみて下さい。
掃除機で鍵穴の中の埃を吸い出す
精密な機械にとって塵や埃、砂などの異物は天敵です。どんなメンテナンスを施すにせよ、まず基本として異物を取り除くことが大事です。
石などは吸い取れるかわかりませんが、掃除機を使用すると鍵穴の中の埃や細かいゴミを吸い出すことができます。掃除機の細いノズルを使い、鍵穴に充てて吸引しましょう。
場所によっては鍵穴の周りも汚れていることがありますので、カラーのあたりまで綺麗にしておきましょう。
掃除機を使えない場合は、エアダスターで埃などを飛ばすという手もあります。
潤滑剤を注入して馴染ませる
鍵穴の中から異物をある程度、取り去ったあとは鍵穴専用の潤滑剤を使用して、更に細かい汚れなどを落とし、子鍵の滑りをよくします。
潤滑剤は鍵穴に少量を吹き付けたあと鍵のブレード(鍵足)にも少量を塗布し、鍵穴に挿入して何度か鍵を回し、潤滑剤を馴染ませます。
また、子鍵を抜いて汚れが付着しているようであれば、乾いた布などで拭き取って下さい。
シリンダー内部に固着した汚れなどは潤滑剤を入れることでしか除去できないことが多いため、潤滑剤を塗布した子鍵に黒い液体がついているような場合は、何度か抜き差しを繰り返して汚れを拭き取りましょう。
シリンダーを洗浄する
シリンダーはドアから取り外して洗浄することもできます。
ドアから取り外し、シリンダーの前後からパーツクリーナーなどを吹き付けて油分を完全に落とします。
掃除機をかけただけでは動きが改善しなかったときに試してみると良いでしょう。
ただしドアからシリンダーを取り外さなくてはなりませんので、工具がない、うまく取り出せる自信がない、という方は鍵屋に相談して下さい。
ドアからシリンダーを取り外す
実はシリンダーを取り外さなくても洗浄することは可能ですが、取り外した方が乾燥が早くなりますし、汚れた液体が錠ケースに流れてしまう心配をしなくて済みます。
ドアからシリンダーを取り外す手順は面付錠とケースロック(箱錠)とでは若干違いますので、皆さんの玄関はどちらの錠前を使用しているか、確認してから作業を行って下さい。
ケースロック

- ドア内に掘り込まれている錠前の場合は、ドアの側面にあるフロントプレートのビスを外し、シリンダー側のピンを2本抜きます
- ピンを抜く際はシリンダーを手で支えながら落下しないように作業して下さい
- ピンを抜くと、シリンダーを固定していたものがなくなりますので、シリンダーが錠ケースから外れます
取り外したシリンダーは柔らかい布の上などに置いて洗浄の作業をします。
面付箱錠

面付錠の場合はドア内に箱錠はなく、ドアの室内側に箱型の錠前がビスで固定されています。
ドア側面にもフロントプレートと呼ばれるケースロック特有の部品がありませんので、まずドア側面を見て、フロントプレートがない場合は面付箱錠だと判断できます。
- 室内側のビスを外して箱錠そのものを取り外します
- 箱錠をドアから取り外したらシリンダーを取り外します。多くの場合、シリンダーを箱錠に固定している部品があり、4隅をビス止めされていると思いますので、この部品のビスを全て外します
- ビスはなくさないように箱などに入れておきましょう
シリンダーを取り出したらパーツクリーナーやブレーキクリーナーといった溶剤系の油分落としを吹き付けて細かい部品と部品の間に蓄積した汚れを落としていきます。
シリンダーの内部を分解するのはやめよう
シリンダーを細かく分解してみたいという方もおられるかもしれませんが、自己責任になるばかりか、部品をひとつでも紛失すると組み立てることができなくなりますので、興味本位でバラバラにするのはやめておきましょう。
特にピンシリンダー錠に入っているピン型のタンブラーはトップピンとボトムピンに分かれており、内筒を引き抜くと外筒側にあるトップピンが外れてあちこちに飛散する可能性があります。
また、部品を紛失する可能性のほかに、元通りに組み立てることができなくなるリスクもあります。
ディンプル錠はこのようなピンの列が複数ありますから、分解は考えない方が良いでしょう。
ウェハータンブラー系の美和ロックU9なども、スプリングが飛び出したり、バラバラになってしまう可能性があります。興味本位で部品を外してしまうと、交換するしかなくなってしまうこともありますので、注意して下さい。
ドアから取り外さずに洗浄する方法
シリンダーをドアから取り外すのが難しいときは、シリンダーを取り外さずにパーツクリーナーを注入して汚れをとるという方法もあります。
ただ、この洗浄方法だと乾燥が遅くなる可能性が高いため、かなり長いあいだ放置しておく必要があります。
適宜、子鍵を入れて内部が濡れていないか確認すると良いでしょう。
乾燥したら鍵穴専用の潤滑剤を少量注入して、子鍵を出し入れして馴染ませます。
鍵穴掃除でやってはいけないこと

鍵穴掃除は慎重なアプローチが必要で、誤った方法を取ると問題を悪化させることがあります。
以下のような手法は鍵穴掃除時に絶対にやってはいけないことです。
鍵穴の中に針金など鋭利で硬いものを入れる
鍵穴の中に針金や金属の棒を挿入することは避けましょう。硬いものを挿入することで、内部の部品に損傷を与え、修理が難しくなることがあります。
異物などが詰まっているのがわかると、キリやピンセットで取り除けるのではないか、と思う気持ちはよくわかります。しかし、そのような異物はシリンダーの奥深くで細かいパーツのあいだに挟まっていることが多いため、どうしても気になるのであれば分解洗浄を依頼しましょう。
鍵穴専用スプレー以外を使用する
鍵穴掃除には適切な鍵穴専用の潤滑剤を使用しましょう。他の油や潤滑剤を使用すると、鍵穴内部に塵・埃がたまり、固着して問題を引き起こします。
金属用潤滑剤、CRCなどは厳禁

特に金属用潤滑剤(クレ5-56)やシリコンスプレーなどの製品は、鍵穴内部に使用してはいけません。これらの製品に含まれる油分に埃や汚れが付着し、その結果、鍵穴内部が汚れてしまい、鍵の操作を困難にします。
もし鍵穴専用以外の潤滑剤を吹いてしまったら

もし鍵穴専用以外の潤滑剤を誤って使用してしまった場合は、パーツクリーナーやブレーキクリーナーといった有機溶剤系の洗浄スプレーを使用して、鍵穴内部に残った潤滑剤や、油分に吸い付いた汚れを除去しましょう。
パーツクリーナーを使用しての洗浄に関しては、上記のシリンダーの洗浄のセクションを参考にして、可能であればシリンダーをドアから取り外して洗浄するようにしましょう。
ドアにつけたままパーツクリーナーを使用する場合は、たくさん吹付けすぎて汚れた液体が錠ケースに流れていかないよう注意してください。
パーツクリーナーが乾いたら、鍵穴専用の潤滑剤を注入して馴染ませます。
潤滑剤を吹き過ぎる
実は鍵穴専用のものとはいえ、潤滑剤の吹き過ぎも詰まりの原因になることがあります。
多くの鍵穴専用の潤滑剤は細かい、微粒子の粉末(シリコン、テフロンなど)を使って滑りをよくするのですが、大量に使用するとこの粉末が鍵穴に溜まり、不具合や詰まりを引き起こします。
特にディンプル錠は細かい異物であっても悪影響を及ぼすことがあるので注意書きをよく読みましょう。
もし詰まりが起こってしまった場合は、鍵穴専用以外の潤滑剤を吹いたときと同様、パーツクリーナーなどで洗い流して様子をみて下さい。

鍵穴掃除をしても改善しない原因
鍵穴を掃除機で掃除したり、洗浄したりしてみたものの、全く効果が見られないことも勿論あります。
このように不具合が改善しない場合は、果たして問題の原因がシリンダーなのかどうかが疑わしくなります。
ここでは、鍵穴を掃除してもよくならない理由をいくつか見ていきましょう。
受座と閂が干渉している
鍵には閂(デッドホルト)が戸枠側に突出した際にそれを受ける「受座」(ストライク)と呼ばれる部品がありますが、このストライクの位置がずれていたり、扉の建付けが悪くなってデッドボルトがしっかりとストライクに収まっていないときがあります。
そのような場合、デッドボルトがストライクに干渉して正常な動きをしなくなり、鍵が固い、回しにくい、といった症状を生みます。
鍵穴の掃除をしても症状が改善しない場合は、サムターン側からも開け閉めをしてみて同じ症状が出るか確認してみて下さい。
サムターン側の動きも固い場合は、デッドボルトがちゃんとストライクに収まっているか確認して下さい。ストライクの位置はネジの締め直しなどで調整することができます。
子鍵やシリンダー内部品の摩耗
シリンダーが古く、経年劣化によって内部の部品や子鍵が摩耗してしまっているのが原因である場合もあります。
特に刻みキーと呼ばれる、子鍵の鍵足にギザギザの切れ込みがあるタイプの鍵は摩耗しやすく、子鍵の変形が原因で回しにくくなったり、空回りしたりします。
ディスクシリンダーの子鍵は摩耗すると空回りする

特にディスクシリンダーと呼ばれる美和ロックの古いシリンダーは、子鍵の先端がテールピースの役割をしていたため摩耗しやすく、すり減ってしまうと錠ケース側に回転動力が伝わらず空回りします。
これはディスクシリンダーだけの特徴で、ピッキングなどで内筒を回すことができても閂が動かないため、ある程度、防犯能力がある構造です。
ただ子鍵に使用される洋白という素材は銅合金でシリンダー内部品より柔らかく、何十年と使用していると摩耗ですり減っていきます。
子鍵が空回りしていて、シリンダーが美和ロックのDNシリンダーなどの古い製品である場合は、使用していない子鍵を使って回してみて下さい。
鍵穴や錠ケースの故障・破損

サムターン側も回しにくいなど、様子がおかしいときはトラブルの原因が錠ケース側にある可能性が高いです。錠ケースとは、堀込錠であればドアの中に入っている錠前の本体とでも言うべき部品です。
古い錠前ですと、シリンダーだけでなく錠ケース側の部品も劣化しています。
古い錠ケースは洗浄では直らないことも多い
金属部品の摩耗、バネ類の破損や汚れの蓄積など、様々な不具合の原因が考えられますが、洗浄すればしばらくの間は問題なく動作することも多いです。
古い錠前はつくりがシンプルですので、汚れが蓄積していてもあまり動作に影響しないことがありますが、一方で部品は間違いなく古くなっていますし、金属疲労でバネが切れてしまうこともあります。
ですので、錠ケースの洗浄も、一時的に効果があるのかもしれないのですが、完全に問題が解決したわけではなく、また同じような症状か、更に悪化した症状が発生することがあります。
20年以上使用している鍵であれば、十分に耐用年数を超えていますので、交換を検討するようにして下さい。
鍵は定期的に手入れをしてメンテナンスしよう
錠前というものは毎日使用するものですから、いくら丈夫に作られていてもやはり「寿命」というものがきます。
特に玄関の鍵は路面からの埃を受けますので、汚れが蓄積しやすく、精密機器であるディンプル錠は些細な蓄積でも影響が出たりします。
ですので、不具合を減らすためにも鍵は定期的に掃除をしたり、洗浄したりして定期的にメンテナンスをし、長く健やかに使い続けられるようにしておくのがおすすめです。
直らない場合は鍵屋に修理や鍵交換を依頼しよう
シリンダーを掃除しても症状が改善しない、或いは一時的に復旧したがまた調子が悪くなってきた、というような場合は、早めに鍵屋に診て貰うようにして下さい。
というのも、掃除やメンテナンスで改善しない場合はシリンダーそのものの故障や錠ケース側の経年劣化などが原因となっていることが多く、放置しているといずれ全く動かなくなって閉め出しや閉じ込めといった事故に繋がってしまうからです。
鍵が回りにくい、抜けにくいといった段階でご相談いただけていれば、不具合の原因となっている部品の分解洗浄やグリス塗布で済んだ、といったケースもあります。
シリンダーがうんともすんとも言わなくなり、鍵が開かない、施錠ができない、となると緊急性の高い案件となり、まず鍵開けが必要になったりして費用がかさみます。
そんなことになる前に不具合の原因をつきとめ、適切な処置をしておいた方がコストも必要以上にかからずに済むかもしれません。
鍵の交換・修理ならキーレスキューサービスに相談
鍵の動きがおかしいとき、自力でできることは限られています。シリンダーを取り外して内筒を取り出し、タンブラーをバラバラにして洗浄できる人はあまりいないでしょう。
シリンダーはばらす方が簡単で、元の子鍵でちゃんと開くシリンダーに組み立て直すのは至難の業です。ばらすときに部品を紛失したりしていると、そもそも正確に組み直すことができなくなってしまいます。
また、長いあいだ使用しているとわかっている場合は、交換をご検討下さい。
鍵の寿命のこともありますが、あまりにも古い錠前は昨今の住環境に適した防犯性能を備えていないことも多いので、空き巣犯や強盗犯に狙われてしまう可能性もあります。
鍵屋キーレスキューサービスでは不具合の起こっている鍵穴の調査や修理はもちろん、その場で新しいシリンダーなどに交換させて頂くことも可能です。
できるだけ豊富な車載在庫でお伺いしますので、見てみたいシリンダーなどがあれば気軽にご相談下さい。
お電話は23時までですが、錠前技師は24時間対応しております。深夜や朝方のご訪問も可能ですので(※深夜早朝料金が加算されます)、鍵のお困りごとがありましたらぜひご相談下さい!



作業内容
対応箇所
ご依頼の前に

Copyright©鍵開けや鍵交換、鍵紛失トラブルなら鍵屋キーレスキューサービスへ,All rights Reserved.
メールで問い合わせる